あいえすえすのだいありー

あいえすえすのだいありー

大学1年生です。140字では収まらないような事を書きます。diaryじゃなくてdialyになってるのは内緒

「君の名は。」とサイレントマジョリティー

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ぷろろーぐ

 皆さんは、数年前に「君の名は。」が流行した事を覚えていらっしゃると思います。新海誠さんのこの作品は日本中で話題となり、歴代邦画興行収入ランキングは「千と千尋の神隠し」に次ぐ第2位となりました。僕自身も友達と観に行ったのですが、正直あまり好きではありませんでした。今回は「君の名は。」について考えてみようと思います。この作品に対して批判的な事や一部ネタバレを書くので、これが好きな人や、まだ観てなくて観たいと思っている人は今すぐこのページを閉じる事をお勧めします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ここで選別(?)が終わったとしてまずは「君の名は。」の感想を内容を思い出しながら書いてみようと思います。

 

 

第一章.あいえすえすの感想(という名の批判)

    まずOPが雰囲気に合ってないなぁと思いました。RADWIMPSの「前前前世」自体はカッコいい曲だとは思ったのですが、少し静かで、でも何かが始まろうとしている雰囲気の中であんなハイテンションな曲を流すのは合わないなぁと思いました。OPが終わった直後にまたどことなく静かな感じに戻ったので、何だったんだ今のは?という感じになりました。

 

    次に話の展開。主人公の二人が入れ替わってお互いに相手の生活を送るところまでは好きでした。ただ、入れ替わりが起こらなくなったあたりから何が起こったのか謎です。記憶が朧げな部分もありますが、どこかの祠の口噛み酒を瀧くんが開けたか飲んだかしたらタイムスリップ(?)が起こったというのが一番わからなかったというのは鮮明に覚えています。まあそこはあくまで物語の世界だから目を瞑るとして、あの何でも知ってそうな三葉のおばあちゃんは結局何だったのか、あの話を聞かなさそうな市長をどのようにして避難させるよう説得したのか 、なぜ突然お互いの名前をおもいだせなくなったのか、瀧くんは隕石が落ちた後どうやって現在の世界に戻ってきたのか、などと諸々の所がわからないまま新海誠氏が力業で解決させてしまったなと思いました。

 

  そしてクライマックスのシーン。山の頂上だったかどこかで二人が邂逅する付近のシーンのセリフがあまり好きではなかったです。今ネットで確認をしましたが、瀧くんのセリフの一つに「大事な人、忘れたくない人。忘れちゃダメな人。誰だ、誰だ、誰だ名前は!」があります。これを君の名は。の名台詞の一つにしているサイトがありましたが、僕自身このセリフを聞いたとき冷めてしまいました。これ瀧くんの独り言なんですけど、独り言にしてはやたら声がでかいしセリフもクサいし、ミュージカルかよと思ってしまいました。ここら辺のシーンはこういったセリフがほかにもあったような気がします。 

 ここまで批判ばっかりしてきましたが、別にこの作品を何でもかんでもディスりたいわけではなく、例えば絵は本当にきれいだと思いましたし(特に先ほど述べたクライマックスの山頂のシーン)、挿入歌の「スパークル」は雰囲気とマッチしていてよかったと思います。高校生の男女が入れ替わるところから始まる恋愛というテーマ自体は面白いとも思いました。ただ、これらの美しさ・素晴らしさでストーリーの粗さをごまかした感が否めませんでした。

 

 以上が僕の「君の名は。」に対する感想です。ここで終われば、ただこの作品がつまらないという感想だけになるのですが、僕はこれを見てから数週間、この映画に関して何か感じるものがありました。次にそれについて話していこうと思います。

 

 

第二章.「君の名は。」から感じたマジョリティ問題

 実は、妹も僕が観た後でこの映画を観ていました。というわけで僕は映画から帰ってきた妹に感想を聞いてみました。すると「面白かったよ。」と返ってきました。それを聞いたときは驚きました。僕が妹に自分の感想を伝えたら妹は「えー。そうか?」と納得してない感じ。その時の僕は、妹はあれが面白いと思ったんだ程度にしか考えていませんでした。

 

 ところが翌日、学校に行くと僕と同じようにこの作品を観てきた同級生同士が、感想で盛り上がっており、しかも彼らは面白かったと言ってました。これを聞いて驚きました。さすがにつまらなかったというのは彼らの楽しい会話に水を差すようで悪いので、「俺も見たけど、そんなに面白かった?」と聞くと、彼らは「本当に良かった。」と答えました。あまり釈然としませんでしたが、納得することにしました。

 

 しかし、ある朝テレビをつけるとZIPで「君の名は。」に関する特集が組まれ、しかもそのコーナーでは「今話題の」「大ヒット」などと謳われていました。渋谷の人にインタビューしてみると街ゆく人々はみな「面白かった」「感動した」などと答えていました。この段階になって、これって僕の感性がおかしいのかなどと疑問を抱くようになりました。そして「君の名は。」がつまらないと主張することはすなわち、自分の感性はおかしいということを主張するだけではないのかと思うようになり、なかなか言い出せなくなるようになりました。

 

 そして、とうとう恐れていたことが起きました。漫画家の江川達也氏がTwitterで「君の名は。」を批判する旨のツイートをしたところ、大炎上するといった事件がありました。今から考えてみれば、江川達也氏が炎上したのは彼のそれまでの言動も含めてなのかなと思いますが、当時の僕はただ「君の名は。」を批判したら炎上したという事実に震えており、それと同時に自分の感性はおかしいのではないかと本気で思うようになりました。そしてもう「君の名は。」がつまらないと言うのは自分の心の中だけにとどめておこうと思うようになりました。この作品の感想を聞かれたらとりあえず「面白かった」とだけ返すようになりました。

 

 やがてこの作品が歴代邦画興行収入ランキングで2位になるともう自分の感性はおかしいんだなと悟りの境地に至るようになりました。

 

 ところがしばらくの月日が流れるようになるとネット上で「君の名は。」が面白くなかったという感想や記事をちらほら見かけるようになりました。そういう人たちの話を読んだりしてみると、おおむね僕と同じようなところを指摘してつまらないと言ってたりします。さらには周りの人が「君の名は。」を絶賛していたために批判しづらくなってしまったと言っている人もいました。これはまさしく僕と同じような状況であり、この時に僕は自分の感性はそれほどおかしくはないんだなと思えるようになりました。おそらく僕が映画を見た時も僕と同じことを考えていた人はいたのでしょう。ただ、世間全体がこの作品を絶賛する流れになっていたので言い出せなかっただけなのです。この時に僕はサイレントマジョリティーを身をもって実感しました。

 

 

えぴろーぐ

 結論としては、「君の名は。」は世間で大絶賛されていましたが、ひょっとしたらこれは批判する人が黙っていただけなのかもしれません。これは「君の名は。」に限らず政治分野などでも応用して考えることができそうです。後もう一つは、自分と意見が合わないからって叩くのはやめましょう。僕は「君の名は。」は好きではないですが、この作品が好きな人は頭悪いだの何だのは全く思っていません。ただ、自分と価値観が合わないだけなんだなと思います。ですから冒頭の選別(?)を乗り越えてこの記事を読んでくださった「君の名は。」が好きな人も、僕をたたくのではなく「あーISSは『君の名は。』が楽しめないんだな。かわいそうな奴。」と思う程度にしてください。

 

 最後に、今年の夏に新海誠氏の新作「天気の子」が公開されるようです。僕も観に行こうかな。